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作業療法とボランティア活動

琉リハの作業療法学科です.
作業療法法では障害ではなく人をみるため,時には問題点よりも対象者の意思を尊重します.

「ボランティア」の語源はラテン語のボランタスにあり,「自由意志」を意味しているそうです.
日本では慈善活動の意味で広がり,現代では災害時の無償奉仕が印象にありますよね.
今回の東京オリンピックが始まる前は,専門職の中では労働力を無償で使うのかという批判も一部ではありました.

有償か,無償かというのは,ボランテイアという概念からズレています.
自由意志で社会貢献することに価値があり,それは他人ではなく当人が感じ,決めることです.
他人のために何かできることをやりたいと思う,
自分のためにやることが自由意志の活動ですよね.

10月に作業療法学科,こども保育リハビリ学科の学生と,
車いすトラベラー三代さんのバリアフリービーチイベント
ボランティアスタッフとして参加しました.

11月には作業療法学科の学生と一緒に,
那覇車いす街歩きバリアフリーイベントに参加しました.
参加を希望したのは1年生の学生たちでした.

学生たちの声を聞けたことが,教員として価値ある体験でした.
作業療法学科では基礎医学について学ぶ時間が多いです.
解剖学や生理学,運動学がなぜ大切なのか,
内科学や病理学,さらには作業療法評価学とどのように結びつくのか,
それが人や社会にとってどれほどの意義と効果があるのか.
座学だけではイメージが持てないこともあるでしょう.

無償で誰かのために手を貸すことは,
ボランティア活動の本質ではありません.
何者かになろうとしている人が,
自分の意志で,何かを手に入れようとするために,
誰かのために自分ができることを探したとき,
他人ではなく自分で自分を評価できるのです.

ボランティア活動に参加した学生たちは,
「予想していた以上の体験だった」と口をそろえました.
自分にできること,難しいこと,できるようになりたいこと.
はっきりと見えたようです.
はじめからそれを知るために参加したのであれば,
わかることはあまり多くなかったかもしれません.

自分に突き動かされ,見知らぬ人と関わり,喜ぶ顔や悩む声に触れることで,
なろうとする自分を感じる機会になったかもしれません.
作業療法では障害ではなく人をみるため,対象者の意思を発掘し,尊重します.
その過程は自分にも通じることを学生は知ることができたのでしょう.

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