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2022.06.30 (木) ブログ

対象者との出会いが作業療法士としての宝物です♪

こんにちは\(^o^)

作業療法士養成校の教員15年目の私は、精神科の病院で12年の臨床経験があります。今では、教員生活が、臨床経験を上回ってしまいましたが、今日は、臨床で出会った対象者のことをお話ししたいと思います。

突然ですが、皆さんは、片手で折鶴を折ったことありますか?

難しいですよね(;^_^A

 私が、精神科の病院に勤務しているときに、Aさんという場面緘黙のある(家族とは会話が可能だが、特定の場面ではコミュニケーションが取れない)方を担当しました。

Aさんは年齢も近く、共通する話題も多いのでは?どんな話をしようかな?と、いろいろ話ができると期待し、担当初日、挨拶に行きました。

ところが、Aさんはうなずきや、首をふるなどのノンヴァーバルな反応のみで、声を聞かせてくれませんでした。

 

作業療法士は、対象者の「思い」や「願い」を大切にします。ですので、私はAさんの気持ちを引き出そうと、筆談をしてみたり、色々とコミュニケーションをとるために策を練りました。

そんな中、毎日関わりを続け、一方的に私が話しかける形で、Aさんが興味を持ってもらえる内容を探るため、私自身の話をしながら過ごしていました。

コミュニケーションがとりにくく、困っていたある日、Aさんが片手で折鶴を折っている姿を見ました。その様子は、片手で、そして器用に、私が両手で織るよりも早く折っているのです。

その感動をAさんに伝え、「織り方を教えてほしい」とお願いしたところ、小さくうなずき、折り方を教えてくれました。言葉は介さず、Aさんの指の動きを見ながら、私は、その時の気持ちを発しながら、2人で鶴をたくさん折りました。いつしかそれは、千羽鶴ができるほどになりました。

そこからです!

今まで、病室での関わりだけでしたが、少しずつ作業療法室で折り紙を取り組むことができるようになり、その他、若い女性の集まるグループへ参加し、料理活動や外出活動ができるようになりました。

しかし、Aさんとの関わりはいつしか終わりがやってきます。私が、その病院を退職するとき、Aさんから、言葉のプレゼントをいただきました。

それは、担当の方から、いただいた色紙の中に、赤い折り紙にすべてひらがなで

と、書かれていました。

出会った当初は、コミュニケーションが取れているとは思えなかったAさんに、わたしの言葉は響いてくれていたんだと、このメッセージを見て胸が熱くなったことを今でも思い出し、目に涙が浮かびます。

私の作業療法士人生は、対象者との出会いが宝物であり、財産です❣

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