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2022.04.12 (火) コラム

【金武校】理学療法学科の臨床実習について

【金武校】理学療法学科の臨床実習について

理学療法学科における臨床実習には大きく分けて➀見学実習(2回)、➁検査測定実習、➂評価実習、➃治療実習があります。見学実習は1年次が対象となり、検査測定実習は2年次が対象となります。さらに評価実習と治療実習は3年次が対象となり期間も長期間となっています。

実習教育の意義について理学療法教育は、知識・技術の伝達を、講義、演示、学生相互の実習などで行う学内教育と,具体的な環境と対象にあたりながら知識・技術の適用、医療専門職従事者としての態度を習得する臨床実習教育との連携によって達成されています。学生は臨床実習教育を通じて、理学療法士としての基本的機能を全般に渡って養うために、患者という具体的な対象にあたり評価・治療の過程を実施することを求められています。この過程を通じて、学生は知識・技術を深化させ、統合していくこととなります。加えて、具体的な職業環境において医療専門職従事者としてとるべき行動、態度を養うことになります。学生にとって臨床実習の場は,日々知的好奇心を刺激される事となります。さらに、自己学習の意欲をかき立てられ、学習した結果に喜びを見出すことのできる場であることが望ましいとされています。

そのため臨床実習指導者は、学生の知的好奇心を呼び覚まし、知的好奇心と自己学習の好循環に適切な介入を行うことで、これを加速するものであることが望ましいとされています。その際、理学療法教育が、医療専門職従事者を育てるという目標と、一個人としての青年を育てるという目標の両者を満たすように行われる必要があることに留意しなければならないとされています。さらに教育方法論を適用した指導を行うことが望まれるとされ、臨床実習指導者においてはそれらのスキルが重要となってきます。

養成校における理学療法教育の到達目標は、日本理学療法士協会の臨床実習教育の手引きに基づき、「養成施設卒業時の到達目標として、基本的理学療法を臨床実習指導者の助言・指導のもと行えるレベル」としています。その到達目標から養成校では概ね臨床実習の教育目標を考えた場合、基本的な理学療法を経験させる事が重要と考え、1年次から3年次までの各臨床実習においては、積極的に理学療法業務に参加させる事が必要です。さらに見学や検査・測定、問題点の抽出、治療体験を通して一連の理学療法過程を経験し、学んでいく実習という概念を中心に掲げています。

具体的内容としては、

➀「理学療法の対象者に対して基本的理学療法を体験し、ある程度実践できる」

➁「保健・医療・福祉の各分野の職場における理学療法士の役割と責任について理解し、その一員として自覚をもった行動がとれる」

➂「実習を通して、自己の理学療法士の自覚を高めることができる」と

掲げる事が出来ます。

その反面、実習指導担当者や学生より共通して多く聞かれる事柄が挙げられています。臨床実習に関する課題や問題点の中には、「知識不足」や「準備不足」の声が多いことが挙げられます。その他、報告書の作成や理学療法検査技術の不十分さについても指摘が多く、掲げている概念を到達するには双方のバランスを均等化していく必要があります。

学内教育においては、知識・技術の伝達を、講義、演示、学生相互の実習などで行う必要があります。それから臨床実習教育では、具体的な環境と対象にあたりながら知識・技術の適用、医療専門職従事者としての態度を習得する事が重要であり、双方の連携によって成り立っている事が考えられます。学内教育の具体的例について挙げると、報告書の作成を補う目的でデイリーノートの作成を行います。これは、一日の講義内容をノートに記録し、まとめるために行うノートとして扱います。

各講義の内容を要約する作業(情報の入力)と、それらを記録する作業(情報の表出)が含まれています。学生は「要約―記録」の作業を通して情報整理のトレーニングを行っています。デイリーノートのもう一つの作業目標として「提出する作業の日常化」を掲げています。

臨床実習においても見学や体験した学習内容を記録し報告する場面があることから、現在も継続して取り組んでいます。理学療法検査技術のスキル向上目的に「実技演習」を導入しています。演習では主に2年生が1年生を対象に検査や測定を行い、上級生が下級生に知識や技術を伝達する、いわゆる屋根瓦方式による教育方法です。実習前の学生は知識や技術の習得だけでなく、検査前のオリエンテーションや同意を得る過程を経験することで、コミュニケーションスキルの向上も期待することができます。 

 

 

 

実技演習では、問診や形態測定、関節可動域測定、徒手筋力検査法など、基本的検査技術に関する項目を中心に技術練習を実施します。加えて、より臨床に近いイメージを作るために問題解決型学習法(ケーススタディ)を導入し、ケースを通して学生自身による検査項目の考案、検査の意味付けと実施の一連の流れを検討する機会が設けられています。

実技演習では、検査や測定の反復による技術向上(ボトムアップ)と問題解決形学習(トップダウン)による学習を進めています。それらを踏まえた上で臨床実習に臨んでいます。終わりに、自らの臨床経験から指導者としての役割として考えている事があります。学生に自ら学ぶ姿勢を促す為には、学生の自主的な意欲、自律的な行動を尊重し、指導者と学生が共に考えながら問題解決のプロセスを進むような指導方法が必要であると考えます。

「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、誉めてやらねば、人は動かじ」

~山本五十六~

 

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